未来予測「学校の3類型と未来」

次世代(W480)

二宮(2006)によると人類初の学校は、紀元前3500年以上も前のシュメール国家に出現したものであるといわれおり、今も昔も「学校」が「勉強」の場であることは世界のいずれの国であれ間違いない。しかし、近代に入り、狭義の意味での「勉強」中心から脱して、「勉強」以外の教育活動(クラブ活動や学校行事などの課外活動)を行ったり、生徒の発達を支援するための指導や世話(ケアー/生徒指導や教育相談)を行ったりするような学校が出始めてきた。世界の学校を「教育課程」(教科書中心か課外活動もあるのかなど)及び「生徒指導体制」の二つの軸で比較的に分析してみると、世界の学校は三類型に分類できることがわかる。

第一の類型は、生徒指導体制はほとんど整備されていないし、教育課程も教科中心の教育課程となっており、課外活動(特別活動)が行われていない学校をいう。ドイツ、デンマーク、フランスなどのヨーロッパ大陸の学校に典型的にみられる。ラテンアメリカの学校もそうである。

第二の類型は、新鮮な理念や教育理論、驚くような教育実践する社会主義特有の学校である。ソ連や東ドイツは地上から姿を消したがロシア、中国、キューバなど社会主義国は残っており、社会主義型学校モデルを垣間見ることはできる。

第三の類型は、学校によって教育課程や教育活動が異なっている学校である。イギリスは同じヨーロッパに誕生しながら、大陸諸国と趣の異なった学校風景を築いてきた。その学校文化はやがて植民地支配や英連邦国家によって他の国(オーストラリア、ニュージーランド、カナダ)に伝播していった。イギリスで誕生した学校文化はアメリカで成熟・発展し、アメリカ型学校文化として戦後の日本などのアジア諸国に輸出された。学校の役割期待も大きく変化し、学校の風景も変わってきた。

世界の学校の三類型

分類 教育課程 生徒指導体制 主な国
ヨーロッパ大陸型「勉強」中心の学校 学力重視 なし(家庭の役目) 欧州各国
旧社会主義諸国型「思想」と「労働」重視の学校 学力重視 思想教育 ロシア、中国、キューバなどの社会主義国
英米諸国型楽しい思い出の残る学校 どちらも重視するが学校によってバランスや力の入れ具合が違う イギリス、アメリカ、日本、アジア諸国

日本の学校の歴史は、明治以前までは寺子屋と呼ばれる教育施設が存在していた。また、それ以前には、古代の学寮、寺院などを中心に教育研究のための施設が設けられることがあった。 平安時代に貴族の師弟の教育機関として大学寮が存在したが、今の大学とは別物である。そして戦後アメリカから輸出された教育が、今の日本の学校の基になっている。

今後、学校はどのようになっていくのだろうか。国家による教育方針とその学校運営は、時代時代の社会背景に反映されることが多分にあった。つまり、教育は社会や人間とのリズム調和性向上により進化していると言え、それ程、教育は社会環境に密接し、社会とは切り離されないものである。これらを背景にして、2015年の学校を考察してみる。

少子化・ライフスタイルの変化が、教育を多様化し、私立志向は一段と加速する。しかし、経営破綻もしくは統廃合する私立学校が出現し、私立学校の生き残り合戦は、すさまじさを増すばかりだ。進学校もしくは特色ある私立以外は、淘汰されてくるだろう。公立校も、学力の低下を阻止するべく、様々な手を打ってくる。和田中の例のように、地域と連携できた公立校は、ゆとり教育の終焉後、徐々にPISA型教育を取り入れている。しかし、まだ数多くの公立校では試行錯誤が続いており、バウチャー制度の導入や中高一貫校の増加で公立学校間の格差が、今まで以上に生じる。

授業には、学習塾のノウハウやICT機器が多く活用され、おもしろさやわかりやすさの授業が子供たちのやる気を引き起こしている。一方、いじめやうつ問題は、早急な対処が求められる。その背景にあるのは、高度情報化社会である。増え続ける情報が、国民の生活を忙しくさせ、それがストレスに繋がっている。子供のストレスは社会問題にも発展し、家庭や地域でのサポートやケア、スクールカウンセラーの需要が高まる。

これからの数年間で、日本の教育は大きな舵を切るだろう。

引用

世界の学校―教育制度から日常の学校風景まで(二宮 晧)

広告
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。