学習塾版BSC

小さな(W480)

前回まで、学習塾経営における様々な指標の管理について、話を進めてきました。しかし、会計数値以外にも大事な数値があり、それをいかに管理するかが重要になってきます。そこでバランス・スコアカード(以下、BSC)の登場です。

「バランス・スコアカード」の「バランス」という言葉には、経営指標をバランス良く配置し、業績評価を行うため、会計数値だけでなく、それ以外の指標も使いながら、企業価値を創造していくという意味を持っています。具体的には財務指標と非財務指標のバランス、社内と社外とのバランス、過去と未来とのバランスなど、多様な意味が含まれています。また、「スコア」には、これらの計画や実績を測定可能な数値的尺度で評価するという意味があり、各視点について後述する戦略的目標、成果尺度、パフォーマンス・ドライバーを示すことが求められています。

BSCは、経営管理システムの中核を担うものであり、1.財務、2.顧客、3.業務プロセス、4.学習と成長、の4つの視点から総合的に業務達成度の程度を把握します。

4eyes

1.財務の視点

企業(教室)の永年的存続(ゴーイング・コンサーン)のために、企業価値の向上を図る必要があります。成果尺度例として、「売上高や利益の伸長率」、「コスト削減率」、「資本回収の短縮化」などがあります。

2.顧客の視点

顧客(生徒・保護者)が、どう満足を得ているかどうかが評価の尺度になります。顧客の支持がなければ企業は存在意義を失っていまい、財務基盤の安定も図れません。そのために、企業は顧客の満足を得るような経営を努めなければなりません。成果尺度例として、「顧客満足度の高低」、「講習会の獲得率」、「マーケット・シェア」「紹介数」などがあります。

3.業務プロセスの視点

事業活動の目的は、顧客(生徒・保護者)からのご要望に対して、商品(授業)やサービスを提供することによって利益を獲得し、財務基盤を強固なものにするものです。そのためには顧客に対し、より品質の高い、しかもより価値の高い商品やサービスを提供しなければなりません。さらに、企業自ら業務プロセス見直しや改善が重要な課題となり、これに向けて全社的に取り組んでいくことが必要になります。成果尺度例として、「リードタイムの短縮化」、「クレームの減少」、「授業レベルの向上」などがあります。

4.学習と成果の視点

顧客満足度を得るために、当該企業の構成メンバーが着実に学習と成長を果たさなけえれば、事業活動の永続性は期待できなくなります。このように全社的に見て、人材とともに組織自体も成長しているかどうか、また、その成長の方向性やレベル・習熟度といったことが、経営にとって重要な課題になる。成果尺度例として、「教育制度の整備状況」、「インセンティブ制度の整備」、「離職率」、「提案件数の伸び率」、「社員満足度」などがあります。

バランスカードの4つの視点の関連性についていえば、財務の視点が優先されるが、ほかの3つの視点との関係は下図のようになっている。

例えば、利益生の向上を戦略目標とする。財務の視点として、生徒数増と授業料単価向上により売上の拡大をし、授業の穴コマと口コミ効果により広告費の削減をする。そのために顧客の視点とし、授業の質を上げて成績アップと顧客ロイヤリティの向上により紹介の促進を図る。また、それを可能にするのが、業務プロセスとして、授業のシナリオ化とクレームを誠意を持って対処することにより、顧客の満足度を上げる。ベースとなるのが、学習と成長の視点で、人材の育成スタッフのモチベーションの向上に努める。

BSCmap

一般的に、経営計画の策定や説明に時間をかけ、部・課レベルまでに利益目標や課題が徹底化されているにもかかわらず、業務向上になかなか結び付かない企業は少なくないのが現状です。このような問題が起こる原因のひとつに、財務的指標といった定量的な数値目標は部・課レベルまでに設定されているが、それを達成するための施策、すなわち、BSCにおける非財務的な3視点の戦略目標の具体化や数値化が十分に行われていないことなどがあげられます。こういった場合、従業員はなにを目標にし、具体的にどのような行動をとればよいのか、十分理解されていないことが多く見られます。

そのような事態に陥れないためにも、BSCの進捗管理がとても重要になってきます。そのためにもBSCシートに、生徒の獲得、成績の上がり方、講師の育成など、さまざまなパラメーターを数値化し管理していくのです。そしてスタッフとこのシートを共有しいきます。

BSCを取り入れた経営は、多くの指標の管理に手間はかかりますが、単なる生徒数や利益だけの経営指標を取り入れた経営に比べて、最終的に高い生徒数や利益を出せる可能性を秘めています。これは、財務面以外にも顧客、業務、学習と成長を管理するからです。

BSCは、企業のみならず病院などの医療機関でも、導入するところが増え始めています。これは、病院には、患者ひとりひとりにきめ細かな対応と、利益の創出が求められているからではないでしょうか。学習塾を含めた教育機関も、生徒ひとりひとりの対応と、やはり利益の必要不可欠です。少子化、市場の寡占化、経済の悪化といった状況化において、「勝つ」にいくためには、BSCの導入がひとつの鍵を握っているのではないでしょうか。

BSCcard

【引用】
産業能率大学SBCP accounting/finance
バランスカードnavi
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