ブルー・オーシャン

小さな(W480)

価格競争、相次ぐM&A、学習塾の競争が激化している。更にこの動きが加速化すれば、ますます市場は泥沼化するだろう。少子化が確実な現代、もはやこれは避けられない。そもそも市場が泥沼化するわけは、どの塾も差異化のない商品戦略を取っているからである。特に中小の学習塾が、大手と同じような戦いをしていては、決して勝つどころか生き残ることすらできない。そのために、重要になってくるのが商品企画であり、価格競争に巻き込まれず、いかに参入障壁が高い商品開発ができるかが、ポイントになってくる。なにかよい策はないのだろうか。そこで注目したいのが、ブルー・オーシャン戦略である。

1)ブルー・オーシャン戦略の概要

ブルー・オーシャン戦略(Blue Ocean Strategy)では、価格や機能などで血みどろの競争が繰り広げられる既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海)」とする一方で、競争自体を無意味にする未開拓の新市場を「ブルー・オーシャン(青い海)」と呼ぶ。W・チャン・キム(2005)は、新市場創造のために、製品・サービスの価値を「取り除く」「減らす」「増やす」「付け加える」ことによって再定義すべきだと説く。こうすれば、コストを抑えながら買い手にとっての価値を大幅に高められるという。これを図式化するための「戦略キャンバス」などの分析ツールも提示している。「日本企業でも、任天堂などが既にブルー・オーシャン戦略を実践している。国内市場が成熟してレッド・オーシャンにいるケースが多い日本企業にこそ、発想の転換が必要だ」と話す。

任天堂Wii[1]は、「非顧客」を顧客化した典型的な事例だ。これまでゲームであまり遊ばなかった小さい子どもや大人にも満足してもらえるゲームを出すことで、ブルー・オーシャン(新市場)を開拓した。 任天堂も(Wiiの前世代の)「ゲームキューブ」を発売した時は、ソニーや米マイクロソフトとの激しい競争の中で、レッド・オーシャンに溺れそうになっていた。任天堂を含むどの企業も、ゲーム機の主要な顧客を10代後半だと考え、この層を満足させるために、画像処理の性能など機能面で競争してきた。

筆者も実際にWiiを購入したひとりであるが、今までのゲームにない動きを取り入れることで、体感性を上手く表現していると思う。なにしろ面白く熱中させるゲームが多いし、単なるゲームを超えたジャンルにも積極的に進出し、マーケティングを活発的に行っている。

ブルー・オーシャン戦略の代表的なツールは3つある。いずれも効用・価格・コストの3つを同時に達成しようとするためのツールである。実際に、3つのツールを用いた、任天堂Wiiのブルー・オーシャン戦略を見ていきたい。なお、この戦略分析は筆者の考えのもとで行ったのもで、(株)任天堂の保有するそれではないことを付け加えておく。

2)任天堂Wiiのブルー・オーシャン戦略の概要

1.戦略キャンパス

ここでは、既存の市場空間について現状を把握し、これを通して競合他社が何に投資をしているのか、何を売りにしているのか、さらに顧客はどのようなメリットを享受しているのか、などが理解できる。Wiiと他社製品の狙いの違いは一目瞭然である。

wiiblue

出所:Permanent Innovation (http://www.permanentinnovation.com)

2.4つのアクション

ここでは、買い手に提供する価値を見直して、新しい価値曲線を描く。そのために、4つの問いを通して、業界のこれまでの既存な考え方を一蹴する。

「Q1.業界常識として製品やサービスに備わっている要素のうち、取り除くべきものは何か」

「Q2.業界標準と比べて思い切り減らすべき要素は何か」

「Q3.業界標準と比べて大胆に増やすべき要素は何か.

「Q4.業界でこれまで提供されていない、今後付け加えるべき要素に何か」

(W.Chan Kjm,Rene Mauborane,2005.p.51)

Wiiはこれらの問いにすべて答えている。ざっくりと取り除いたHard DiskとDolby5.1、DVD、Connectivily、大胆に増やしたMotion Controler、また、新たな顧客を得た。

4actions

出所:Blue Ocean Strategy (http://www.blueoceanstrategy.com/)

3.アクション・マトリクス

最後のツールは、4つのアクションを補う分析手法である。4つのアクションをマトリクス化することにより、即座に次の4つの効果が生まれる。以下に、Wiiのアクション・マトリクスを示す。

取り除く(Eliminate)

  • ハードディスク(Hard Disk)
  • 音響装置(Dolby5.1)
  • DVD
  • 接続性(Connectlivly)
増やす(Raise)

  • プロセッサースピード(Processor Speed)
減らす(Reduce)

  • 価格(Price)
付け加える(Create)

  • 体感性(Motion Controle)
  • 顧客層の拡大(Large Public)

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ブルー・オーシャンが、大変ユニークな手法であり、大きな可能性を秘めていることは確かなことだ。次回はこのユニークな戦法が、学習塾の経営において活用できるのか吟味してみたい。きっとおもしろい活用方法が、あるのではないだろうか。是非、学習塾の青い海を見てみたい。

[1]2006年12月2日任天堂より、発売された家庭用ゲーム機。ユニークなコントローラーを持つ。

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