教室空間デザイン

プロ(W480)

これまで何度も、学習塾の商品は差異化がなく、泥沼化してきていると警告してきた。特に個別指導ビジネスにおいて、アルバイト学生に頼りきりであるために、授業レベルの向上は困難を極め、それが著しく商品価値の低下につながってきた。しかし、学習塾の商品は授業だけでなく、例えばその他に、顧客に対してアピールできる材料がある。それは、教材でもよいし、アフターサービスでもよいが、どの塾もこの辺を抜かりなく抑えており、なかなか他塾を圧倒するような商品に、滅多にお目にかかれないのが現実だ。どの塾も手がけてなく、顧客に対して訴求効果が高いものはないものだろうか。そのひとつの可能性として、店舗空間デザイン、塾でいえば教室空間デザインに注目してみたい。

日経アドネットに興味深い記事が連載されている。それは、日経MJとWEBとのクロスオーバー企画で、デザイナー小泉誠氏の「いつもの時代も愛される店舗づくりの秘訣とは?」である。以下、その抜粋である。

店舗は扱う商材により顧客とのコミュニケーションをはぐくみ、商いを成立させる場所だ。だからこそ店舗空間には、商材の価値を来店客に伝える機能が求められる。商材はモノや食などさまざまであり、表現方法も店舗を運営する人の考え方によって異なる。利益を最重要視する場合もあるだろう。また、新たに店舗を立ち上げた時には、初期投資の回収をなるべく短期でと考えることもあるだろう。その一方で、商材の価値をじっくりと伝えることに重きを置き、初期投資の回収においても10年などの長いスパンでとらえるという考え方もある。小泉誠氏は後者の考え方を大切にする。
「お店は自分の家にいるより長い時間を過ごす場所です。だからこそ、店舗には自宅のような居心地の良さが必要だと思います。そうであれば店舗空間もより大事にされるでしょうし、自宅に大切な人を招くように、お店にお客様をお迎えすることができるからです。品ぞろえも自然と自分が信頼できるもの、誇りの持てるものになるのではないでしょうか 」(小泉氏)
空間づくりは物理的な制約もあるが、自宅のように継続して使おうと思うと、仕切り方一つにしても深く考える。誕生から5年目を迎えたこいずみ道具店には今後も改装の予定はない。だからこそ、床の高さから一本の線に至るまですべてに意味があるという。また、商材の陳列にしても、単に棚に羅列するように並べるのではなく、その商材に最も適した生きた見せ方が自発的に生まれてくるのだと話してくれた。

この点において、学習塾は大幅に、他の業界に比べると遅れている。ほとんどの塾が、生徒を小さな教室に詰め込んだり、ブロイダーのように個別ブースに・・・。これはサービスとして、大きく欠落しているのではないだろうか。もっともっと塾は、子供に対して快適にわくわくするような勉強空間を、提供できないだろうか。いつでも子供が来たくなるような、学校や家庭にできない、非日常感を醸し出すような勉強の場を。数は少ないが、実際にそのような空間を持つ学習塾や試みがある。何点かご紹介したい。

まずは、店舗デザイン会社のエムアンドアソシエイツより「世界の子供たちの部屋」。『私たちの部屋のように世界の子供たちの部屋のように楽しくクリラックスして学べる私の部屋 「学び」「生きる力」「世界が広がる」世界にはばたく…』が、コンセプトだ。なんだか、わくわくしてくるのは、筆者だけだろうか。

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受け付けカウンター 証券取引所をイメージ

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パソコン教室入口 壁は世界の街並を表現している 色々な形の窓も楽しい

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パソコン教室 ブースごとに世界各国のグラフィックを

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多目的教室 床には世界地図グラフィック出力タイルを

次は、実在する千葉県にある個別指導塾。こちらは教室に、美容室のコンセプトを取り入れている。実際、本当に美容師がでてきそうだ。照明や色遣いの違いだけで(もちろん他に要素はあると思うが)、これだけ既存の塾と雰囲気が違うとは驚きだ。

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最後は、兵庫県にある代ゼミ。これ本当に予備校ですか?ホテルの間違いでは。ここまでくると、なんかある意味落ち着かないような気もするが・・・。トイレもすごい造りだ。

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受付け

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個別ベース

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自習スペース

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トイレ!

いくらデザイン性が高くても、肝心の商品(授業)がだめなら、どうなるか今更とやかく言う必要はないだろう。しかし、デザイン性が高ければ、顧客の琴線に触れる可能性は、間違いなく高まるだろう。例えば、ディスカウントストアのドンキホーテは、ご存じだろうか。この店のデザインは、ひと言でいうと下品極まりない。店は、黄色と黒のコントラストである。しかし、この店は大変繁盛している。なぜなら、この店は目立つと同時に、面白いものが格安で売っているからである。固定ファンも多く、若い女性も利用するから驚きだ。つまり、ドンキホーテは、「(下品だけど)目立つ → 客の興味をひきつける → 店内には面白いものがあるかつ安い」の、立派にマーケティングをしているのである。このあたり、学習塾はやはり遅れている。

学習塾が下品なのは困るが(笑)、保護者に「ここで勉強させたい!」、生徒に「ここで勉強してみたい!」と思わせるような、デザイン性に富んだ教室造りは、思わぬ集客効果、すなわちプロモーションになり得るのではないだろうか。一度、街に出て、おしゃれな美容室やホテルを覗き、そこで体感した、「いいなぁ」「また来たいなぁ」と思わせたデザインを、貴塾に取り入れることから始めてみてはいかがでろうか。くれぐれも、ごちゃごちゃした下品なデザイン(笑)には気をつけて。そして日々の授業レベルの向上は、お忘れなく。

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