2009学習塾M&A予報

業界(W480)

学習塾業界はM&Aで揺れ動く!

以下、8/17日経新聞からの抜粋である。

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栄光は8月17日引け後に、自己株式の公開買付(TOB)を行うと発表した。併せて発表した自己株式の取得の一環として行われるもので、資本効率の改善およびROEの向上を図る目的。

 

 

なぜ、ここにきて業界最大手の栄光がTOBなのかと思うかもしれないが、実は企業分析を進めていくと、あまり不思議なことでないことがわかる。栄光の事例も含め、学習塾業界のM&A傾向を探ってみたい。

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1.学習塾業界の企業規模特性

 

まず、学習塾業界が有する特性を探ってみる。

企業ごとの経営方針や環境にばらつきはがあるものの、売上が上がると収益率も上昇する傾向があり、特に個別指導の経常利益率は群を抜いている。この点から学習塾業界は内需型の産業であり、閉鎖されている市場もといえる。

今後、業界内での有利なポジションにシフトできるM&Aはもちろんのこと、ベネッセのように業界の壁を打ち砕き、鎖国解放をするM&Aも増えてくるだろう。

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2.教育サービス業界の企業規模特性

次は、学習塾業界を取り巻く教育サービス業界の特性を探ってみる。ここでは2通りの考え方にまとめた。

 

(1)異業種(教育サービス)からのM&A

現在のところ、ベネッセ、学研、Z会あたりに動きある。出版市場の低迷する教材会社、ゲーム市場の縮小と教育のIT化するゲーム会社などの提携・買収の面白い動きがあるかもしれない。

 

(2)外資ファンドからのM&A

業界再編が起こると必ずハイエナが近寄る。これは動物界だけの法則でなく、経済でも同様なことが日常茶飯事起きている。金融危機とハゲタカのイメージが付きまとうファンドだが、金を持っているところは虎視眈々とチャンスを狙っている。

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3.ROA-PBR

学習塾業界の上場企業のROA(総資本利益率)とPBR(株価純資産倍率)の相関から、企業価値ポジショニングを作成し分析した。

 

(1)優良企業群(高ROA・高PBR)

全業界のものさしに当てはめると学習塾の優良企業は少ない。唯一、ナガセがこれにあたるか。

 

(2)M&A対象の可能性がある企業群(低ROA・低PBR)

資産・投資効率よりも従来のP/L重視の短期・単眼志向型の経営スタイルをとっている会社。早稲田、アップ、昴、ウィザス、京進がこれに該当する。

 

(3)経営不振・再建中の企業群(低ROA・低PBR)

経営不振・再建中ゆえに企業体力不足がネックとなり、抜本的なリストラを断行できない企業。秀英予備校、市進、栄光、進学会、ワオ・コーポ、城南がこれに該当する。

なんと、栄光は、ROAとPBRの視点からだと、NG企業に属していたことになる。

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4.ROI-WACCマップ概念

 

資金の調達力を示すWACC(果汁平均資本コスト)と投資効率を示すROI(C)(投資収益率)を軸にグラフを作成すると、企業が調達面で課題があるのか、そもそも調達コストに見合うだけの正味のリターンが得られているのかが明らかになるとともに、企業が同業他社とのポジショニングがわかる。これを学習塾業界に適用してみる。

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まだ、学習塾業界では大手同士のM&Aの実例はないが、ROIC-WACCベースで作成したグラフからは、財務ベースでのその未来予測が可能である。事業力は高いが調達力に劣っているM&A仕掛け側の企業(明光、早稲田、リソー教育、ナガセ、東京個別)が、事業力が脆弱だが調達力が優れているM&A仕掛けられ側の企業(学究社、クリップ、市進、ワオ・コーポ、アップ、進学会、秀英予備校、昴、京進)を買収すれば、事業力も調達力も優れた優良企業に成り得る。

ROIC-WACCの視点では、栄光はなんとも微妙な位置にいる。

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財務面からのM&Aの可能性を探ってきたが、M&Aの成否は、企業文化がコラボできるかにかかっていることは言うまでもない。しかし、ほとんどのM&Aが、文化面を考慮することなく財務のみを指標にし失敗している。

だから、本記事の分析は、あくまでもそのような可能性があるかもしれないぐらいで受け止めてほしい。ただし、どの企業も仕掛けるも仕掛けられるもM&Aの可能性を秘めており、間違いなくこの動きは加速化するだろう。そして塾業界の枠を超えたM&A、ベネッセのような例やファンドの参入が起こるだろう。栄光もそのような環境化におかれ、苦渋の判断を迫れていたのではないだろうか。

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参考

ROIC = NOPAT / 投下資本
NOPAT = 営業利益 × (1−実効税率)
投下資本 = 純資産 + 有利子負債

WACC = D/(D+E) × rD × (1-税率) + E/(D+E) × rE
D:有利子負債総額 E:時価総額(または株主資本) rD:負債コスト rE:株主資本コスト

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引用

業界内ポジションを考慮したM&A検討のすすめ

 

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