学習塾におけるブルー・オーシャン戦略の活用

学習塾業界には、2度の躍進があった。1回目は、昭和40年代の受験戦争期における学習塾(集団指導)の導入期である。そして2回目は、平成に入ってから少子化を背景に個別指導が台頭した成長期である。導入期では、学習塾(集団指導)が学校に対して、そして成長期では、学習塾業界の中で、個別指導が集団指導に対して、差別化を行ってきた。しかし、この先、学習塾業界は少子化ゆえに市場規模の縮小のみならず、異業種や外資の参入による市場のオープン化が十分に考えられ、大きな変革に差し掛かっている。

この変革期に、レッド・オーシャンに身を沈めないように、現在の価値曲線と戦略キャンパスからブルー・オーシャンを見出してみたい。特に小さな塾は、大手の安売り路線に追随することなく、自らの教育観を反映した授業や新たなサービスの創作することが、重要になってくる。

1.現在の価値曲線と戦略キャンパス

まずは、現在の学習塾の主要な形態である、個別指導と集団指導の価値曲線を描いてみたところ、個別指導と集団指導でその差がはっきりしている(図表1)。しかし、どちらにせよ、巷に個別指導と集団指導も溢れていることから、新たな海路を切り開けなければ、レッド・オーシャンに身を沈めることになる。なお、図表1の各項目の高低については、定量的、データがない部分に関しては定性的に分析し、算出した(図表2)。

図表1

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図表2

項目 集団指導 個別指導
価格 高校受験生平均年間30万円 高校受験生平均年間50万円
上位校の合格実績 「上位校の合格実績」がKFS 志望する学校に合格させる
講師 正社員・一流大学生 大学生のアルバイト
保護者のフォロー 年2回面談。不定期な電話連絡 年3回面談、月1回電話連絡
家庭学習 なし 講師の力量次第
カリキュラムの柔軟性 レベル分け 講師の力量次第
学習環境 詰め込み 個別ブース
やる気 生徒次第 カウンセリング
わかりやすさ レベルが合えば 講師の力量次第
親しみやすさ なし 個別だから打ちとけやすい
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2.アクション・マトリクスによる分析

次に、新しい学習塾の創出を目指し、アクション・マトリクス(図表3)を作成した。コンセプトは『楽しい勉強』である。暗記中心の現在の勉強では全く楽しくないし、苦痛を伴うだけである。テスト前、一夜漬けで勝負し、苦しんだ経験のある方も多いのではないだろうか。そんな勉強は、本来の勉強からほど遠く、もはや勉強とは言えないかもしれない。だから「暗記」はばっさりと取り除き、その試延長線上にある暗記型入試による「上位校合格」、「高学歴」も全て抹殺した。また、誰にでも塾に来やすいように「価格」は抑え、「勉強嫌い」を減らす工夫をする。一方、「やる気」や「家庭学習」、「カリキュラムの柔軟性」、「学習環境の改善」、「勉強のわかりやすさ」を増やす。そして新たなに、「勉強の楽しさ」、「ICTの活用」、「新たな生徒層」を付け加える。

所詮、夢物語のような話であるが、これで一向に構わないのである。このひとつでも実現できたら、間違いなく今の教育は変わってくるだろう。塾がその変革を起こすことは、十分な可能性がある。

図表3 アクション・マトリクス

取り除く

上位校合格実績

講師の高学歴

強制的な暗記からの解放

増やす

やる気を産み出すメカニズム

家庭学習指導

カリキュラムの柔軟性

学習環境改善

わかりやすさ

減らす

価格

勉強嫌い

付け加える

勉強の楽しさ

ICTの活用

新たな生徒層

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3.新しい価値曲線と戦略キャンパス

2節の分析結果、従来の集団指導型や個別指導型に比べて新しい曲線を描くことができた(図表4)。「合格実績」や「講師の学歴」をばっさりと切り捨てるか減らし、「勉強の楽しさ」に視点を切り替えた。その結果、「楽しさ」、「新しい生徒層」、「ICTの活用」といった新しい価値までもが創出ができ、新たな戦略キャンパスを描けた。

図表4

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ブルーオーシャンの成功の秘訣は、おもいっきり強弱をつけることにある。あれもこれもと思っていると、結局のところ強い訴求力にかけ、埋没化してしまう。だから、『学習塾=合格実績』のような既存概念を、おもいっきり取り払ってみた。そして、その副産物が『楽しさ』であったわけだ。次回は、ブルーオーシャンが描いた、未来の学習塾像の様子をお伝えしたい。

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