未来予測「2015年の学習塾」

次世代の学習塾を考える」から始まり、「未来予測から市場を読む」、「未来予測「社会環境の変化を読む」、「未来予測「学校の3類型と未来」と続いた次世代シリーズは、いよいよ今回は、最終回の未来予測「2015年の学習塾」である。

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2015年の学校事情

教育の多様化により私立志向公立離れは一段と加速する。それは、地域間の教育格差問題を引き起こす。それに伴い、経営破綻もしくは統廃合する私立学校が出現し、私立学校の熾烈な生き残り合戦が始まる。偏差値中堅以下もしくは特徴なき私立学校が、消滅するのは時間の問題である。

また、学力の低下を阻止するべくして、様々な一手を打ってくる。しかし、ゆとり教育は終焉するが、直ぐに学力の低下は収まらず、やはり公立校の地位低下はますます加速する。その間、バウチャー制度の導入や中高一貫校の増加で、公立学校間の格差が今まで以上に生じる。

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2015年の学習塾市場

少子化により学習塾や教育サービス業は、市場規模の縮小は避けらず、レッド・オーシャン化が進む。残されたパイを奪い合いが激化し、M&Aの活発化や異業種からの参入が相次ぎ業界の再編の結果、上場企業が半数近くまで淘汰され、外資傘下の企業も誕生する。

一方、学校や他の教育機関との提携が進み、ますます学習塾に期待が寄せられる。これは、もはや学習塾が閉ざされたクローズ市場から教育サービスのオープン市場に移行しなければ、戦えないことを示唆しているのではないだろうか。

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オープン型アーキテクチャー競争

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2015年の学習塾の商品

個人重視時代の到来より、進路の多様化が更に進む。また、ITの発展が教育に寄与する。

【ミクロ視点】

a.個人主義の時代に入り、教育も次第にカスタマイズ化されていく。苦手な教科があった場合、直ぐに勉強に取り掛かるのではなく、カウンセリングを受けることにより阻害している概念を取り払い、全く違った学習方法でやってみる。指導形式も教科・単元・レベルに応じて個別指導、グループ指導、集団指導を選択することができる。

4カスタマイズ型指導

b.ICTの発展で教育工学の活用が高まる。もう勉強方法はひとつだけではない。もはやテキストとノートだけで勉強するのは時代遅れである。如何にしてICT機器を使いこなせるかが学習の幅を広げ、学力向上につながる。例えばエデュテイメントの活用である。エデュテイメント(Edutainment)とは、教育(Education)と娯楽(Entertainment)を組み合わせた造語であり、学習を楽しく学ぶものである。子供たちは各々、携帯型端末機(現在の携帯電話、PDA、任天堂DS等)の学習コンテンツで「いつでも」「どこでも」手軽に勉強することができる。

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エデュテイメント

c.学習塾は誰もが気持ちよく勉強できる空間になる。学校では、依然としていじめ問題が蔓延して、うつ病陥る子供はますます増えるばかりだ。そんな中、次世代の学習塾は、心理快適性の向上に努め、子供に楽しい勉強の「場」を提供する。

jyukug03次世代学習塾の教室(エムアンドアソシエイツ

d.子供の安全確保にICTの力も利用される。電子タグをもった子供が街角に設置された見守りリード(電子タグリーダ、センサー、無線伝送装置等)を通過することで、ポイント通過情報と映像(画像)等をサーバー等に蓄積し、保護者に情報を伝達する。

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ユビキタスネット技術を用いた子供の安全確保

e.中学受験者数はますます加速し、学習塾にとってもこの市場は見逃せなくなっている。一方、私立中学校は一流高校や一流大学合格の実績を作り、ますます進学校としてのステータスやブランド化を求めるようになる。こうした学校選びの中で塾は重要なポジションを占めるようになる。

また、教育の低年齢化が促進し、お受験教室、英会話教室、放課後教室(アフタースクール)などの分野が伸びる。その他、海外有名大学留学塾、体育塾などの新しい需要も出てくる。

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以上で、学習塾の未来予測はおしまいである。

未来予測の精度を上げるために、イノベーション・マネジメントの手法を取り入れたり、インタビューの回数、参考にした資料・文献は軽く2ケタに及んだ。まだまだ、本論に曖昧さが残っているのは間違いないが、少しでも学習塾の発展に寄与できれば幸いである。

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参考

モジュール化、新しい産業アーキテクチャの本質(青木昌彦・安藤晴彦著)

総務省「u-Japan政策」

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