学習塾業界における成熟市場の打開方法(前半)

市場が縮小する中、次の一手が注目される学習塾業界。そんな中現在、各社ともに試行錯誤の模様。上場企業の動向を追うことで、今後の業界動向を占い、成熟市場の打開方法を模索してみる。

なお、今回の分析は、ビジネス・マーケット・マトリックス(BMM、copyright M&E)の手法を使った。BMMは、水平軸に既存ビジネスと新ビジネスを、垂直軸に既存市場と新市場にとることで、市場浸透、市場開発、商品開発、多角化の4つのマトリックスに分け、今後のビジネス展開をプロットするものである。BMMは、アンゾフの「成長ベクトル」の垂直軸を取り出し、水平軸をビジネスモデルに置き換えて構成したものである。下図が、学習塾企業のBMMである。

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図表1.学習塾のビジネス・マーケット・マトリックス(BMM)

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それぞれのマトリックス別に見ていくと、

市場浸透(赤色)

既にこの市場の寡占化に陥り、レッドオーシャン化している。レッドオーシャンとは、W・チャン・キムのブルーオーシャン戦略に出てくる、血みどろの戦いが繰り広げられている既存市場のことである。レッドオーシャンの行く末は価格競争に陥り、消耗戦を仕入れらその結果、価格の主導権をとった企業だけが生き残る。この市場では規模の経済が追及され、M&Aによる規模拡大、集団塾の個別指導の参入、個別指導のフランチャイズ(FC)展開で、各企業シェアの拡大に走っている。

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商品開発(橙色)

既存市場を新ビジネスで攻めるこの市場は、現時点で最もトレンドのひとつである。昨年頃から映像授業・教材の台頭が激しく、インフラの向上とパンデミックで一気にその知名度を上げた。映像授業・教材は、今後のICTの発達によってよりリアルで高性能な商品になり、更に人件費が低いビジネスモデルゆえに低価格で提供できれば、今まで学習塾の対象でなかった消費者を取り込める可能性を秘めている。

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市場開発(桃色)

今あるビジネスで新市場を開拓する。東京個別指導のベネッセとのコラボは、両者にとって幼児や学習塾といった別の市場を手に入れることができれば、面白いシナジーをもたらすが、まだ、その傾向は未知数だ。公文は海外進出を以前から積極的に行っており、同社の売上の3割は海外市場が占める。近年、学習塾の中でも海外進出をする企業が、出始めている。

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多角化(青色)

栄光は学校に講師を派遣する事業を手がけているほか、グループ会社の二期リゾートでホテル・レストランを展開中だったがリストラを敢行。デイ・サービス事業など介護に進出したのは早稲田アカデミー。進学会はスポーツクラブ、クリップコーポレーションはサッカー教室を展開している。しかし、どれもこれも経営の柱を担うビジネスに成長していない。多角化の成功には、如何に自社の強みを新ビジネスに転換し新市場に対応させるかが、ひとつの鍵になってくる。

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(後半に続く)

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コメント / トラックバック2件 to “学習塾業界における成熟市場の打開方法(前半)”

  1. 学習塾業界における成熟市場の打開方法(後半) « 経営教育研究所 Says:

    […] 前回は、ビジネス・マーケット・マトリックス(BMM)を使い、各企業を4つのマトリックスに当てはめてみた。今回は、更にその4つのマトリックスを細分化し、少子化(これは確定型未来)による市場縮小を前提にし、各戦術を考えてみる(下図)。なお、下図のBMMとツリーの各色は対応している。 […]

  2. 2010年経営教育研究所・記事ランキング « 経営教育研究所 Says:

    […] 3.学習塾業界における成熟市場の打開方法(前半) […]


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