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豊かな国は「少子化」克服、日本は例外的

次世代(W480)

少子化について興味深い記事を見つけた。以下、読売新聞のからの抜粋である。

社会・経済が発展すると晩婚、出産の高齢化が進み、出生率は下がると考えられてきたが、発展がある段階を超えると、出生率は再び増加に転じる傾向にあることが、米ペンシルベニア大学などの分析で明らかになった。

この中で日本は出生率が上がらない例外的存在であることもわかった。6日付の英科学誌ネイチャーで発表する。20090806-156981-1-N

研究グループは、各国の生活の質と発展度合いを示す人間開発指数(HDI、最高値は1・00)と、1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率との関係について、1975年から2005年まで比較した。

調査対象は05年時点でHDIが0・85以上の日米欧など37か国。その結果、HDIが高くなるほど出生率は低下したが、HDIが0・85~0・90に達した段階で、出生率が逆に上昇する傾向があることがわかった。

例えば、米国は76年(HDI0・88)、イタリアは94年(同0・90)に、出生率が増加に転じた。この傾向の明らかな例外は日本、韓国、カナダだった。日本では05年にHDIが0・94まで上昇したが、出生率は1・26で過去最低になった。

HDIが特定水準を超えると出生率が上がることについて、同大のハンスペーター・コーラー教授は「発展に伴い、女性の働く環境や保育・教育施設が整備され、晩婚化や高い育児・教育費用などのマイナス面を補うから」と説明。

日本でも06年以降の出生率は3年連続で微増してはいるが、コーラー教授は「日本は明らかな例外。男女間格差や女性が働きにくい労働環境など、複数の要因が重なっている」と分析している。

◆人間開発指数=1人当たりの国内総生産や平均寿命、識字率、就学率から算出。国連開発計画も90年から毎年、発表している。

教室空間デザイン

プロ(W480)

これまで何度も、学習塾の商品は差異化がなく、泥沼化してきていると警告してきた。特に個別指導ビジネスにおいて、アルバイト学生に頼りきりであるために、授業レベルの向上は困難を極め、それが著しく商品価値の低下につながってきた。しかし、学習塾の商品は授業だけでなく、例えばその他に、顧客に対してアピールできる材料がある。それは、教材でもよいし、アフターサービスでもよいが、どの塾もこの辺を抜かりなく抑えており、なかなか他塾を圧倒するような商品に、滅多にお目にかかれないのが現実だ。どの塾も手がけてなく、顧客に対して訴求効果が高いものはないものだろうか。そのひとつの可能性として、店舗空間デザイン、塾でいえば教室空間デザインに注目してみたい。

日経アドネットに興味深い記事が連載されている。それは、日経MJとWEBとのクロスオーバー企画で、デザイナー小泉誠氏の「いつもの時代も愛される店舗づくりの秘訣とは?」である。以下、その抜粋である。

店舗は扱う商材により顧客とのコミュニケーションをはぐくみ、商いを成立させる場所だ。だからこそ店舗空間には、商材の価値を来店客に伝える機能が求められる。商材はモノや食などさまざまであり、表現方法も店舗を運営する人の考え方によって異なる。利益を最重要視する場合もあるだろう。また、新たに店舗を立ち上げた時には、初期投資の回収をなるべく短期でと考えることもあるだろう。その一方で、商材の価値をじっくりと伝えることに重きを置き、初期投資の回収においても10年などの長いスパンでとらえるという考え方もある。小泉誠氏は後者の考え方を大切にする。
「お店は自分の家にいるより長い時間を過ごす場所です。だからこそ、店舗には自宅のような居心地の良さが必要だと思います。そうであれば店舗空間もより大事にされるでしょうし、自宅に大切な人を招くように、お店にお客様をお迎えすることができるからです。品ぞろえも自然と自分が信頼できるもの、誇りの持てるものになるのではないでしょうか 」(小泉氏)
空間づくりは物理的な制約もあるが、自宅のように継続して使おうと思うと、仕切り方一つにしても深く考える。誕生から5年目を迎えたこいずみ道具店には今後も改装の予定はない。だからこそ、床の高さから一本の線に至るまですべてに意味があるという。また、商材の陳列にしても、単に棚に羅列するように並べるのではなく、その商材に最も適した生きた見せ方が自発的に生まれてくるのだと話してくれた。

この点において、学習塾は大幅に、他の業界に比べると遅れている。ほとんどの塾が、生徒を小さな教室に詰め込んだり、ブロイダーのように個別ブースに・・・。これはサービスとして、大きく欠落しているのではないだろうか。もっともっと塾は、子供に対して快適にわくわくするような勉強空間を、提供できないだろうか。いつでも子供が来たくなるような、学校や家庭にできない、非日常感を醸し出すような勉強の場を。数は少ないが、実際にそのような空間を持つ学習塾や試みがある。何点かご紹介したい。

まずは、店舗デザイン会社のエムアンドアソシエイツより「世界の子供たちの部屋」。『私たちの部屋のように世界の子供たちの部屋のように楽しくクリラックスして学べる私の部屋 「学び」「生きる力」「世界が広がる」世界にはばたく…』が、コンセプトだ。なんだか、わくわくしてくるのは、筆者だけだろうか。

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受け付けカウンター 証券取引所をイメージ

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パソコン教室入口 壁は世界の街並を表現している 色々な形の窓も楽しい

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パソコン教室 ブースごとに世界各国のグラフィックを

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多目的教室 床には世界地図グラフィック出力タイルを

次は、実在する千葉県にある個別指導塾。こちらは教室に、美容室のコンセプトを取り入れている。実際、本当に美容師がでてきそうだ。照明や色遣いの違いだけで(もちろん他に要素はあると思うが)、これだけ既存の塾と雰囲気が違うとは驚きだ。

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最後は、兵庫県にある代ゼミ。これ本当に予備校ですか?ホテルの間違いでは。ここまでくると、なんかある意味落ち着かないような気もするが・・・。トイレもすごい造りだ。

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受付け

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個別ベース

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自習スペース

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トイレ!

いくらデザイン性が高くても、肝心の商品(授業)がだめなら、どうなるか今更とやかく言う必要はないだろう。しかし、デザイン性が高ければ、顧客の琴線に触れる可能性は、間違いなく高まるだろう。例えば、ディスカウントストアのドンキホーテは、ご存じだろうか。この店のデザインは、ひと言でいうと下品極まりない。店は、黄色と黒のコントラストである。しかし、この店は大変繁盛している。なぜなら、この店は目立つと同時に、面白いものが格安で売っているからである。固定ファンも多く、若い女性も利用するから驚きだ。つまり、ドンキホーテは、「(下品だけど)目立つ → 客の興味をひきつける → 店内には面白いものがあるかつ安い」の、立派にマーケティングをしているのである。このあたり、学習塾はやはり遅れている。

学習塾が下品なのは困るが(笑)、保護者に「ここで勉強させたい!」、生徒に「ここで勉強してみたい!」と思わせるような、デザイン性に富んだ教室造りは、思わぬ集客効果、すなわちプロモーションになり得るのではないだろうか。一度、街に出て、おしゃれな美容室やホテルを覗き、そこで体感した、「いいなぁ」「また来たいなぁ」と思わせたデザインを、貴塾に取り入れることから始めてみてはいかがでろうか。くれぐれも、ごちゃごちゃした下品なデザイン(笑)には気をつけて。そして日々の授業レベルの向上は、お忘れなく。

ブルー・オーシャン

小さな(W480)

価格競争、相次ぐM&A、学習塾の競争が激化している。更にこの動きが加速化すれば、ますます市場は泥沼化するだろう。少子化が確実な現代、もはやこれは避けられない。そもそも市場が泥沼化するわけは、どの塾も差異化のない商品戦略を取っているからである。特に中小の学習塾が、大手と同じような戦いをしていては、決して勝つどころか生き残ることすらできない。そのために、重要になってくるのが商品企画であり、価格競争に巻き込まれず、いかに参入障壁が高い商品開発ができるかが、ポイントになってくる。なにかよい策はないのだろうか。そこで注目したいのが、ブルー・オーシャン戦略である。

1)ブルー・オーシャン戦略の概要

ブルー・オーシャン戦略(Blue Ocean Strategy)では、価格や機能などで血みどろの競争が繰り広げられる既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海)」とする一方で、競争自体を無意味にする未開拓の新市場を「ブルー・オーシャン(青い海)」と呼ぶ。W・チャン・キム(2005)は、新市場創造のために、製品・サービスの価値を「取り除く」「減らす」「増やす」「付け加える」ことによって再定義すべきだと説く。こうすれば、コストを抑えながら買い手にとっての価値を大幅に高められるという。これを図式化するための「戦略キャンバス」などの分析ツールも提示している。「日本企業でも、任天堂などが既にブルー・オーシャン戦略を実践している。国内市場が成熟してレッド・オーシャンにいるケースが多い日本企業にこそ、発想の転換が必要だ」と話す。

任天堂Wii[1]は、「非顧客」を顧客化した典型的な事例だ。これまでゲームであまり遊ばなかった小さい子どもや大人にも満足してもらえるゲームを出すことで、ブルー・オーシャン(新市場)を開拓した。 任天堂も(Wiiの前世代の)「ゲームキューブ」を発売した時は、ソニーや米マイクロソフトとの激しい競争の中で、レッド・オーシャンに溺れそうになっていた。任天堂を含むどの企業も、ゲーム機の主要な顧客を10代後半だと考え、この層を満足させるために、画像処理の性能など機能面で競争してきた。

筆者も実際にWiiを購入したひとりであるが、今までのゲームにない動きを取り入れることで、体感性を上手く表現していると思う。なにしろ面白く熱中させるゲームが多いし、単なるゲームを超えたジャンルにも積極的に進出し、マーケティングを活発的に行っている。

ブルー・オーシャン戦略の代表的なツールは3つある。いずれも効用・価格・コストの3つを同時に達成しようとするためのツールである。実際に、3つのツールを用いた、任天堂Wiiのブルー・オーシャン戦略を見ていきたい。なお、この戦略分析は筆者の考えのもとで行ったのもで、(株)任天堂の保有するそれではないことを付け加えておく。

2)任天堂Wiiのブルー・オーシャン戦略の概要

1.戦略キャンパス

ここでは、既存の市場空間について現状を把握し、これを通して競合他社が何に投資をしているのか、何を売りにしているのか、さらに顧客はどのようなメリットを享受しているのか、などが理解できる。Wiiと他社製品の狙いの違いは一目瞭然である。

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出所:Permanent Innovation (http://www.permanentinnovation.com)

2.4つのアクション

ここでは、買い手に提供する価値を見直して、新しい価値曲線を描く。そのために、4つの問いを通して、業界のこれまでの既存な考え方を一蹴する。

「Q1.業界常識として製品やサービスに備わっている要素のうち、取り除くべきものは何か」

「Q2.業界標準と比べて思い切り減らすべき要素は何か」

「Q3.業界標準と比べて大胆に増やすべき要素は何か.

「Q4.業界でこれまで提供されていない、今後付け加えるべき要素に何か」

(W.Chan Kjm,Rene Mauborane,2005.p.51)

Wiiはこれらの問いにすべて答えている。ざっくりと取り除いたHard DiskとDolby5.1、DVD、Connectivily、大胆に増やしたMotion Controler、また、新たな顧客を得た。

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出所:Blue Ocean Strategy (http://www.blueoceanstrategy.com/)

3.アクション・マトリクス

最後のツールは、4つのアクションを補う分析手法である。4つのアクションをマトリクス化することにより、即座に次の4つの効果が生まれる。以下に、Wiiのアクション・マトリクスを示す。

取り除く(Eliminate)

  • ハードディスク(Hard Disk)
  • 音響装置(Dolby5.1)
  • DVD
  • 接続性(Connectlivly)
増やす(Raise)

  • プロセッサースピード(Processor Speed)
減らす(Reduce)

  • 価格(Price)
付け加える(Create)

  • 体感性(Motion Controle)
  • 顧客層の拡大(Large Public)

.

ブルー・オーシャンが、大変ユニークな手法であり、大きな可能性を秘めていることは確かなことだ。次回はこのユニークな戦法が、学習塾の経営において活用できるのか吟味してみたい。きっとおもしろい活用方法が、あるのではないだろうか。是非、学習塾の青い海を見てみたい。

[1]2006年12月2日任天堂より、発売された家庭用ゲーム機。ユニークなコントローラーを持つ。

学習塾版BSC

小さな(W480)

前回まで、学習塾経営における様々な指標の管理について、話を進めてきました。しかし、会計数値以外にも大事な数値があり、それをいかに管理するかが重要になってきます。そこでバランス・スコアカード(以下、BSC)の登場です。

「バランス・スコアカード」の「バランス」という言葉には、経営指標をバランス良く配置し、業績評価を行うため、会計数値だけでなく、それ以外の指標も使いながら、企業価値を創造していくという意味を持っています。具体的には財務指標と非財務指標のバランス、社内と社外とのバランス、過去と未来とのバランスなど、多様な意味が含まれています。また、「スコア」には、これらの計画や実績を測定可能な数値的尺度で評価するという意味があり、各視点について後述する戦略的目標、成果尺度、パフォーマンス・ドライバーを示すことが求められています。

BSCは、経営管理システムの中核を担うものであり、1.財務、2.顧客、3.業務プロセス、4.学習と成長、の4つの視点から総合的に業務達成度の程度を把握します。

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1.財務の視点

企業(教室)の永年的存続(ゴーイング・コンサーン)のために、企業価値の向上を図る必要があります。成果尺度例として、「売上高や利益の伸長率」、「コスト削減率」、「資本回収の短縮化」などがあります。

2.顧客の視点

顧客(生徒・保護者)が、どう満足を得ているかどうかが評価の尺度になります。顧客の支持がなければ企業は存在意義を失っていまい、財務基盤の安定も図れません。そのために、企業は顧客の満足を得るような経営を努めなければなりません。成果尺度例として、「顧客満足度の高低」、「講習会の獲得率」、「マーケット・シェア」「紹介数」などがあります。

3.業務プロセスの視点

事業活動の目的は、顧客(生徒・保護者)からのご要望に対して、商品(授業)やサービスを提供することによって利益を獲得し、財務基盤を強固なものにするものです。そのためには顧客に対し、より品質の高い、しかもより価値の高い商品やサービスを提供しなければなりません。さらに、企業自ら業務プロセス見直しや改善が重要な課題となり、これに向けて全社的に取り組んでいくことが必要になります。成果尺度例として、「リードタイムの短縮化」、「クレームの減少」、「授業レベルの向上」などがあります。

4.学習と成果の視点

顧客満足度を得るために、当該企業の構成メンバーが着実に学習と成長を果たさなけえれば、事業活動の永続性は期待できなくなります。このように全社的に見て、人材とともに組織自体も成長しているかどうか、また、その成長の方向性やレベル・習熟度といったことが、経営にとって重要な課題になる。成果尺度例として、「教育制度の整備状況」、「インセンティブ制度の整備」、「離職率」、「提案件数の伸び率」、「社員満足度」などがあります。

バランスカードの4つの視点の関連性についていえば、財務の視点が優先されるが、ほかの3つの視点との関係は下図のようになっている。

例えば、利益生の向上を戦略目標とする。財務の視点として、生徒数増と授業料単価向上により売上の拡大をし、授業の穴コマと口コミ効果により広告費の削減をする。そのために顧客の視点とし、授業の質を上げて成績アップと顧客ロイヤリティの向上により紹介の促進を図る。また、それを可能にするのが、業務プロセスとして、授業のシナリオ化とクレームを誠意を持って対処することにより、顧客の満足度を上げる。ベースとなるのが、学習と成長の視点で、人材の育成スタッフのモチベーションの向上に努める。

BSCmap

一般的に、経営計画の策定や説明に時間をかけ、部・課レベルまでに利益目標や課題が徹底化されているにもかかわらず、業務向上になかなか結び付かない企業は少なくないのが現状です。このような問題が起こる原因のひとつに、財務的指標といった定量的な数値目標は部・課レベルまでに設定されているが、それを達成するための施策、すなわち、BSCにおける非財務的な3視点の戦略目標の具体化や数値化が十分に行われていないことなどがあげられます。こういった場合、従業員はなにを目標にし、具体的にどのような行動をとればよいのか、十分理解されていないことが多く見られます。

そのような事態に陥れないためにも、BSCの進捗管理がとても重要になってきます。そのためにもBSCシートに、生徒の獲得、成績の上がり方、講師の育成など、さまざまなパラメーターを数値化し管理していくのです。そしてスタッフとこのシートを共有しいきます。

BSCを取り入れた経営は、多くの指標の管理に手間はかかりますが、単なる生徒数や利益だけの経営指標を取り入れた経営に比べて、最終的に高い生徒数や利益を出せる可能性を秘めています。これは、財務面以外にも顧客、業務、学習と成長を管理するからです。

BSCは、企業のみならず病院などの医療機関でも、導入するところが増え始めています。これは、病院には、患者ひとりひとりにきめ細かな対応と、利益の創出が求められているからではないでしょうか。学習塾を含めた教育機関も、生徒ひとりひとりの対応と、やはり利益の必要不可欠です。少子化、市場の寡占化、経済の悪化といった状況化において、「勝つ」にいくためには、BSCの導入がひとつの鍵を握っているのではないでしょうか。

BSCcard

【引用】
産業能率大学SBCP accounting/finance
バランスカードnavi

選挙戦で期待が高まる学習塾株

業界(W480)

7月18日付の産経新聞に掲載された「衆院解散 株価、今回はどうなる? “民主政権”期待と不安」によると、総選挙中に株価が上がる可能性が高いとある。以下、記事の一部抜粋である。

週明けの解散が確定するなか、低迷が続く株式市場も、 総選挙の行方をかたずをのんで見守っている。市場には「総選挙中の株価は上昇する」という教訓が伝わっており、実際、過去10回の総選挙でみると、“8勝 2敗”の好成績を収めている。今回は政権交代の可能性もあり、政治的な混乱を不安視する声がある一方で、民主党の家計支援を重視した政策への期待感も強 く、内需関連銘柄を物色する動きも出ている。

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今回の衆議院選は、民主が政権を取るとの噂(事実?)がある。その民主党は3つの公約を掲げており、その中で2つ目の公約に注目が集まっている。以下、2つ目の公約である「子ども手当」についての抜粋である。

子どもたちは日本の未来を担う宝物です。民主党は、単に親だけに子育ての責任を負わせるのではなく、社会みんなで子育てと教育を支える仕組みをつくります。
まず、誰もが安心して子どもを産み、育てることができるように、1人当たり月額2万6000円の「子ども手当」を創設して、義務教育終了まで支給します。その後の高校教育も無償化を進めるとともに、大学、専門学校などについては奨学金制度を拡充して、親の負担を軽減します。国、地方自治体、学校、親、地域社会が力を合わせ、互いに責任を持って、日本の子どもたちに等しく教育のチャンスを保障し、「教育格差」を解消します。

● 子ども1人当たり月額2万6000円の「子ども手当」を創設し、中学校卒業まで支給します。
● 公立高校の授業料などを無料にするとともに、奨学金制度を拡充します。
● 教育への財政支出は先進国で最低水準です。現行の5割増を目指します。
● 養成課程を6年に延長するなど、教員の養成と研修を充実させるとともに、教員が教育に集中できる環境を整えます。それにより、教育の質を高めていきます。
● 義務教育における国の責任を明確にする一方、学校の運営は地方自治体が
責任を持って行う制度に改めます。その一環として、親や地域住民が学校運営などに参加できる「学校理事会」を設置します。

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この公約ができるかは別として、期待が高まり注目されるのが、学習塾を始めとする教育機関である。現に7月の上旬に行われた都議会選は、民主の勝利であったことは周知のことである。選挙期間中、首都圏の学習塾の株価は、軒並み上昇し、中旬を過ぎた今でも、上昇中の企業もあるほどだ。これは、まぎれまなく民主への期待であり、公約の「子ども手当」の期待であろう。

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もし、民主が政権を取り、国会を運営できるならば、今後の学習塾を取り巻く大きなキーワードは、「民主政権」「中高一貫」「ICT」になるのではないだろうか。

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個別の成長に限りか!?「上場企業編」

業界(W480)

今年度(2009)に入り、個別の成長にブレーキがかかったと、一部でそんな話が聞かれる。少子化に合わせて、記憶にあたらしいサムプライム・ローンによる景気の悪化、個別指導教室の増殖ぶりを考えれば、いつか来る問題なのだが、果たして今がその時期なのか真相を確かめてみたい。今回は、個別大手3社である、明光ネットワークジャパン、東京個別指導学院、リソー教育の直近5ヶ年の業績から成長性をみていくことにする。そのために、各企業の有価証券報告書から、1株当たりの純資産額、1株当たりの純利益、1株当たりの配当額の数値を読み取り、内部留保、ROE、内部留保率、内部成長率の数値を算出した。

自己資本利益率(ROE)により、企業の最終目標である株へのリターンを、内部留保率により、企業の手持ち資金総合的に評価した。また、両者をかけ合わせ、内部成長率を出すことにより、各企業の成長性を判断していくものとする。なお、各項目の式は、以下の通りである。

  • 内部留保 = 1株当たりの純利益 – 1株当たりの配当額
  • 自己資本利益率(ROE) = 当期純利益 / 株主資本 × 100%
  • 内部留保率 = 内部留保 ÷ 1株当たりの純資産額 × 100%
  • 内部成長率 = 自己資本利益率(ROE) × 内部留保率

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まずは、明光ネットワークジャパンだが、ROE、内部保留率は、ともに年々下がっており、それに伴い内部成長率もほぼ横ばいから低下に入り始めた。フランチャイズ(FC)を含めた教室展開はうまく進捗しているようだが、一教室当たりの平均生徒数の伸びが鈍化しているようである。同社の資料によると、2009年度の直営教室の平均生徒数は、前年の77.4人から71.4人に減少している。FC教室は、ここ数年ほぼ横ばいが続いているようだ。なお、明光ネットワークジャパンの決算期は8月のため、それぞれのデータは、前年8月期のものを使用した。

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ベネッセコーポレーションの子会社である東京個別指導学院は、2006年度をピークにROE、内部留保率が落ちている。これは、首都圏マーケットの飽和状態、東京以外の市場(関西など)での収益が上がらず、やはり一教室当たりの平均生徒数の伸びが鈍化しており、この辺のところは、明光ネットワークジャパンと同様と思われる。同社は、今年度より教室展開を再開し、ベネッセとのシナジーを打ち出した商品企画を打ち出してくるようである。

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リソー教育も、先の2社同様、年度によってROE、内部保留率にバラつきがあるものの内部成長率は鈍化傾向にある。これもまた、首都圏の市場飽和による生徒数の伸び悩みによるものであろう。同社は、今後、地方展開をしていくことを示唆している。

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個別大手3社の内部成長率を見てきたが、明光ネットワークジャパンと東京個別指導学院の成長力は落ち、リソー教育だけは、ほど横ばいであった。これは、前者の2社は、個別指導の専門企業といってもよいが、リソー教育は、積極的にM&Aを進め、幼児教室や家庭教師へ進出しており、もはや個別専門企業とは言えなくなっている。そのために、成長力がキープできたのではないだろうか。実際に、平成22年2月期の第1四半期決算短信では、学習塾部門の売上(個別指導)は落ちている。やはり、個別指導の成長は落ちているようだ。

以上より、個別指導の快進撃に、終止符がつけられる可能性がでてきたのではないだろうか。次回は、FC展開している企業の様子をみていくことにする。

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学習塾の広告宣伝「マスからダイレクト・マーケティング」

プロ(W480)

学習塾の広告宣伝費は、依然として高い水準にあることは、前回「なぜ、こんなにかかる広告宣伝費」で話した。しかし、いかに素晴らしい商品(授業)を提供しても、その商品の存在や特長を顧客である生徒・保護者に知ってもらわないと、販売には結びつかない。ここにプロモーションの重要がある。プロモーションは、広告・販売促進・パブリシティ・人的販売の4つの活動に分類できるが、今回は、広告宣伝と口コミの活用にフォーカスを当ててみる。

広告宣伝は、資本力あれば数に言わせる戦い方ができるが、費用対効果の検証方法があまり確立されておらず、本当に効果があるかわからない点が問題である。特に折り込みチラシやTVCMの費用は少なくなく、広告宣伝費が学習塾の3大経費のひとつであることは、前回話した通りである。筆者は、今の学習塾の広告量が適正だと思っておらず、少しでも予算を商品力に回して欲しいと常々思っている。もちろんビジネスゆえに、集客することは必要だが、要はそのバランスだ。どうも多くの塾は、商品(授業)がおろそかになっている感が否めない。

商品価値を高め、広告宣伝の効果をもたらすものとして、ネットの活用が考えられる。特に、YouTubeに代表される動画共有サービスは、今やどの業界にも利用されている。実際にYouTubeには、多くの学習塾TVCMや授業風景、明光義塾のCMコンテストまでもアップされている。HPやblogとの連動をさせ、顧客に見せる仕掛けづくりを構築できれば、新たな広告手段として大きな可能性を秘めているだろう。

一方の口コミは、なんといっても無料であることが大きなメリットだろう。上手にインターネット上でも活用できれば、相乗効果も期待できる。反面、原則的に口コミ自体をコントロールできないゆえに、悪評がでたら即NGである。2chなどの掲示板での講師による塾の悪口、お母さんの塾に対する不満は、脅威である。簡単に見過ごすことはできない。この対策として、日頃から講師や保護者のロイヤリティをどう高めていくのか思案し、システムを構築するに他ならない。特に、講師による2chの醜態ぶりにはあきれるばかりだ。書く方も書く方だが、問題は営業に特化している教室運営にある。アルバイト講師の育成が、正社員と同様にいかないのは仕方ないが、ろくに育成もせず、授業は講師に任せぱなっし。こんな状況だから授業レベルは上がらず、商品価値は低い。だから営業に走るしかなくなってしまう。このへんのところに、多くの講師は憤りを感じているのではないだろうか。

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不特定多数の顧客を相手にするのではなく、ターゲットである顧客の層が決まっている学習塾のマーケティングは、マスからダイレクト・マーケティングに変わっていくだろう。マス・マーケティングとは、ターゲットをひとつのマスとみなし、少ない商品ラインを大量広告・大量物量で販売するアプローチする手法である。ダイレクト・マーケティングは、その逆でターゲットをひとりひとり見て、それぞれ個別のアプローチをする。ターゲットを明確にした商品開発とITの活用次第では、ダイレクト・マーケティングへの発展が十分考えられる。

例えばこうだ。地元中学の定期テスト対策講座があるとする。その授業のさわり部分を、YouTubeにアップする。そしてこの動画は、塾のHPのトップページや目立つ所にリンクさせ、塾生とその保護者の携帯にリンクをメールをする。同時にプロジェクターで塾の窓ガラスいっぱいに放映し、より対象者にメッセージが届くようにする。定期テスト以外にも様々な授業コンテンツの映像を送ったり、講師のメッセージや紹介クリップも効果的だろう。そのために講師育成は欠かせないが。

このように、広告宣伝をマスからダイレクト・マーケティング移行することにより、消費者に対してより有益な情報の提供をできるばかりか、広告宣伝費を大幅に削減できる可能性を秘めている。今後、異業種の成功例も取り入れながら、ネットを活用した学習塾の広告宣伝を思案・構築していきたい。

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それでも月謝は値下げをしてはならない!

業界(W480)

価格競争の加速化」「価格競争に陥るワケ」にて、ほとんどの学習塾で商品である授業は差異化されていなく、月謝値下げの価格競争に陥っていると書きました。今回は別の切り口から、やはり月謝は値下げをしてはならない理由を記します。

1.広告宣伝費

商品の同質化(差異化の反対)は、価格競争に陥ります。大手塾のように体力があったり、営業力や宣伝力などに力をもっている塾ならば、あえて同質化を戦略として用いることは可能です。しかし、ほとんどの塾にとって同質化を選ぶことは、あっという間に価格競争に巻き込まれ、生徒を獲得するために広告宣伝費は怒涛の如く増えることを意味します。チラシ屋は喜びますが、本当に喜んで欲しいのは生徒自身にです。今一度、他塾と比べて何が優位なのか認識し、それを強みにして戦い方を組み立てましょう。

2.集団塾編

集団塾ですと、ひと部屋あたりに収容人数に限界があります。キャパの限界というやつです。部屋が無限に大きければ問題はないのですが、普通の塾でしたらせいぜい20人程度が限界収容人数ではないでしょうか。値下げをして全席が埋まった状態で、今の売上より落ちるようでは、全く意味がありません。ちなみに、私は以前、通常2列+2列の机配置を、2列+3列の配置して、キャパの限界値を上げたことがあります。しかし、その新幹線教室(?)は、「狭い」「暑苦しい」「うるさい」の3重苦で、残念ながら、翌年、廃止となりました。

3.個別塾編

個別指導は変動費(講師給与のこと。授業数に比例して増えていく)ビジネスゆえに、値下げに対して全く向いていません。下図の横の数字は、値下げ前に「売上に対してどれだけ変動費が掛かっていたか」です。売上に対する変動費(講師給与)を30%だと仮定すると、同じ収益を上げるためには、月謝を10%値下げると、16.67%の売上増が必要になります。

単純に考えるために生徒数に換算して考えると、教室の生徒が50名で収益の増加を図るためには、

10%の値下げ・・・生徒が58名
20%の値下げ・・・生徒が70名
30%の値下げ・・・生徒が88名

の生徒が必要になります。たった10%の値下げでも、8名の生徒増が必要になり、20、30%ですと、もはや達成不可能な数字でしょう。

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何度もくどいですが、決して値下げをしてはなりません。例え、周りの塾が値下げしたとしても、決して値下げをしてはなりません。むしろ商品である授業に磨きをかけて、値上げするべきです。大変勇気がいる行為ですが、ここでしか受けられない授業があるこそできることです。一方通行の授業、単なる質疑応答の授業をしているようでは、話になりませんが。値下げをするくらいなら、是非、講師の育成をしてください。講師と話をする機会を増やすことからでもよいので始めてください。彼らが塾の商品を作るのですから、彼らを絶えず磨きをかけなければ、授業のレベルは上がりません。

ちなみに、ある条件が整えば、値下げは可能になります。ある条件とは・・・。このお話はいずれ「小さな塾のマネジメント術」でしたいと思います。

引用

「10%の値下げは、どれだけつらいか知っていますか?」
田中靖浩の管理会計入門講座(5)

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未来予測「学校の3類型と未来」

次世代(W480)

二宮(2006)によると人類初の学校は、紀元前3500年以上も前のシュメール国家に出現したものであるといわれおり、今も昔も「学校」が「勉強」の場であることは世界のいずれの国であれ間違いない。しかし、近代に入り、狭義の意味での「勉強」中心から脱して、「勉強」以外の教育活動(クラブ活動や学校行事などの課外活動)を行ったり、生徒の発達を支援するための指導や世話(ケアー/生徒指導や教育相談)を行ったりするような学校が出始めてきた。世界の学校を「教育課程」(教科書中心か課外活動もあるのかなど)及び「生徒指導体制」の二つの軸で比較的に分析してみると、世界の学校は三類型に分類できることがわかる。

第一の類型は、生徒指導体制はほとんど整備されていないし、教育課程も教科中心の教育課程となっており、課外活動(特別活動)が行われていない学校をいう。ドイツ、デンマーク、フランスなどのヨーロッパ大陸の学校に典型的にみられる。ラテンアメリカの学校もそうである。

第二の類型は、新鮮な理念や教育理論、驚くような教育実践する社会主義特有の学校である。ソ連や東ドイツは地上から姿を消したがロシア、中国、キューバなど社会主義国は残っており、社会主義型学校モデルを垣間見ることはできる。

第三の類型は、学校によって教育課程や教育活動が異なっている学校である。イギリスは同じヨーロッパに誕生しながら、大陸諸国と趣の異なった学校風景を築いてきた。その学校文化はやがて植民地支配や英連邦国家によって他の国(オーストラリア、ニュージーランド、カナダ)に伝播していった。イギリスで誕生した学校文化はアメリカで成熟・発展し、アメリカ型学校文化として戦後の日本などのアジア諸国に輸出された。学校の役割期待も大きく変化し、学校の風景も変わってきた。

世界の学校の三類型

分類 教育課程 生徒指導体制 主な国
ヨーロッパ大陸型「勉強」中心の学校 学力重視 なし(家庭の役目) 欧州各国
旧社会主義諸国型「思想」と「労働」重視の学校 学力重視 思想教育 ロシア、中国、キューバなどの社会主義国
英米諸国型楽しい思い出の残る学校 どちらも重視するが学校によってバランスや力の入れ具合が違う イギリス、アメリカ、日本、アジア諸国

日本の学校の歴史は、明治以前までは寺子屋と呼ばれる教育施設が存在していた。また、それ以前には、古代の学寮、寺院などを中心に教育研究のための施設が設けられることがあった。 平安時代に貴族の師弟の教育機関として大学寮が存在したが、今の大学とは別物である。そして戦後アメリカから輸出された教育が、今の日本の学校の基になっている。

今後、学校はどのようになっていくのだろうか。国家による教育方針とその学校運営は、時代時代の社会背景に反映されることが多分にあった。つまり、教育は社会や人間とのリズム調和性向上により進化していると言え、それ程、教育は社会環境に密接し、社会とは切り離されないものである。これらを背景にして、2015年の学校を考察してみる。

少子化・ライフスタイルの変化が、教育を多様化し、私立志向は一段と加速する。しかし、経営破綻もしくは統廃合する私立学校が出現し、私立学校の生き残り合戦は、すさまじさを増すばかりだ。進学校もしくは特色ある私立以外は、淘汰されてくるだろう。公立校も、学力の低下を阻止するべく、様々な手を打ってくる。和田中の例のように、地域と連携できた公立校は、ゆとり教育の終焉後、徐々にPISA型教育を取り入れている。しかし、まだ数多くの公立校では試行錯誤が続いており、バウチャー制度の導入や中高一貫校の増加で公立学校間の格差が、今まで以上に生じる。

授業には、学習塾のノウハウやICT機器が多く活用され、おもしろさやわかりやすさの授業が子供たちのやる気を引き起こしている。一方、いじめやうつ問題は、早急な対処が求められる。その背景にあるのは、高度情報化社会である。増え続ける情報が、国民の生活を忙しくさせ、それがストレスに繋がっている。子供のストレスは社会問題にも発展し、家庭や地域でのサポートやケア、スクールカウンセラーの需要が高まる。

これからの数年間で、日本の教育は大きな舵を切るだろう。

引用

世界の学校―教育制度から日常の学校風景まで(二宮 晧)