2010フランチャイズショーから見る学習塾FCトレンド

INSIGHT NOW!掲載より抜粋

3月9日から11日に東京ビッグサイトで「2010フランチャイズ・ショー」(主催:日本経済新聞社)が開催された。今年の出展企業数143社で、史上最大級を記録した昨年の122社を上回った。来場者数も29、676人で、昨年の23,027人より3割増しだった。今年のフランチャイズ・ショーより全体的な傾向、学習塾も含めたサービスFCの業界トレンドと注目業種をお送りする。
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フランチャイズビジネスの今
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日本フランチャイズチェーン協会によると、2008年度の総売上高は20兆8,088億円(協会加盟社)であった。とても大きなFC業界であるが、ここ数年は売上高が横ばいで、成熟期に入った模様。それでも日本経済が下落する中、なかなかの業績をあげているとも言える。
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そんなフランチャイズ(以下FC)業界であるが、トレンドがすこしずつ変化してきたようである。以前のFCと言えば、アメリカで成功したFCパッケージを、日本に導入する方式が一般的だった。セブンイレブンやスターバックスがその代表例である。
しかし、その流れは変わりつつあり、現在は日本のFCパッケージをアジアで展開するケースが出てきた。業種もラーメン、コンビニ、ハンバーガーなど、多岐にわたる。現に、今年のフランチャイズ・ショーには、アジア系の人たちの姿も目立った。アメリカに次ぐフランチャイズビズネス大国日本は、FC輸出国として新たな道を切り開こうとしている。
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昨年に比べて来場数が増えたフランチャイズ・ショーであったが、加盟希望者にも変化があるようだ。昨今、退職金の減少や金融機関の融資が厳しくなっている中、加盟希望者にとって以前に比べて手持ち資金が少ないことが共通の悩みだ。
中堅FC本部幹部によると、実際に本部への問い合わせは増えているが、「お金をかけずになにか儲かるビジネスはないか?」「まだなにをやるか決めていないが」などと問い合わせをしてくる、恐らく起業しても成功の確率が低い方も多くいる。不況の中、確実に低開業資金FCはトレンドになりつつある。
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サービスFC
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学習塾、家事代行、介護、ヘルスケアが成長産業分野である。しかし、ヒューマンリソースに依存している業態ゆえに、ソフトの標準化が大変難しく、店舗によってサービスの質にバラつきがあることが大きな問題だ。そんなサービスFC中で群を抜いて目立っていたのが個別指導型の学習塾あり、昨年より5社増えて14社の出展だった。今回のフランチャイズ・ショーの中でも、最大の出店数を誇った。
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これは、少子化の影響により市場が縮小傾向にあるものの、個別指導型のシェアは年々高まっていること、ゆとり教育からの転換(2010小学生、2011中学生完全移管)により学校の勉強についていけない生徒が続出し、その受け皿に補習型の個別指導型学習塾は最適であるからだ。そして子ども手当への期待値の高さ、開業資金が比較的少ないことも大きく起因している。また、今年は主だった出展はなかったものの、幼児教育や保育機能を組み合わせたビジネスは、次の成長分野だと期待されている。
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株式会社拓人 スクールIEの出展ブース
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エステ・フィットネスクラブは、昨年に比べて1社減ったものの6社が出展。小規模なフィットネスは、地域に密着し変動型ビジネスをとっているために、損益分岐点が低く利益が出やすいのが魅力だ。これは先の個別指導型学習塾も同様だ。
介護サービスはかなり乱立気味。一種のバブル状態にある。大手FCコンサルティング企業によると、現在問い合わせの3~4割がこの介護サービスだという。介護ビジネス非課税であり、社会的政策・社会的インフラゆえに景気に左右されにくい。しかしその一方で、ビジネスの制約があり、大きく発展しづらい側面もある。
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不況に強いと言われるFC業界。しかし、これはFC本部側からの見解に過ぎない。加盟者希望は開業に向けて、「優良FC本部を見抜く眼力」「ある程度の資金」、そしてなによりも「理念」「志」を持って挑みたいところだ。
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